ダウン・ツ・へヴン

ダウン・ツ・ヘヴン―Down to Heaven

ダウン・ツ・ヘヴン―Down to Heaven

ダウン・ツ・へヴン/森博嗣 読了。
『ダウン・ツ・へヴン』は『ナ・バ・テア』の直接の続きで『スカイ・クロラ』の前の話。主人公は『ナ・バ・テア』から続いて草薙水素だった。
なんだかこのシリーズのノリにそろそろ慣れて来たみたい。意図した世界観の説明不足とひたすら目先のこととか心情とか思考を前面に詩的に押し出した文体とかがフツーに読めるようになった。といいますか繰り返される空の描写に、地上への厭世さに、「あーこうやって飛べれば気持ち良さそうだなぁ」とか思うようになって来た。森イリュージョン。
森氏の公式HP(http://www001.upp.so-net.ne.jp/mori/)の予定によると、このシリーズは全5作で、第4弾『フラッタ・リンツ・ライフ』は2006年の6月頃、第5弾が2007年の6月頃に発売の予定らしい。…「百年シリーズ」の最終巻は…?


それで以下このシリーズのネタバレあり感想。
読み終わった後『スカイ・クロラ』読み返してみたら草薙さんがなんだか苦労してて微笑ましくなってしまった。そうか昔はハッチャケてたってことだったのか(そうか!?)今回の怪我の話とかネコのペインティングの機体とか、優秀な飛行機乗りだったとか、そこについて熱く語ったとか、『スカイ・クロラ』を初めて読んだ時にはひっかからなかった描写がひっかかるのが面白い。といいますかあんなに説明少な!て思った『スカイ・クロラ』ですら『ダウン・ツ・へヴン』まで読んだ後だと説明が多いように感じる。すごいや。ヒトは理由に濁った水を飲み過ぎだね。でも『スカイ・クロラ』の草薙さんと『ダウン・ツ・へヴン』の主人公が果たして本当に、正確に同じヒトなのかはわからないところではある。『ダウン・ツ・へヴン』で函南君登場したし…夢の話してたし…この夢の”彼女”がもし森作品お得意な”彼女”だったりしたらちょう萎えるからそれだけは勘弁して欲しい…でもこの世界は戦争してるらしいから「百年」の方とは違う未来なのか…?あれそういえば栗田君は?
それにしても、主人公が企業の戦闘機乗りの優秀なパイロットで、政治的なデモンストレーションの為に市街地で戦闘するという(まぁそれ以外にも色々あるんだけど)概要だけだとべたべたなのになぁ。あれだけあっさり描くのはスゴいなぁ。